2020年1月19日日曜日

歴代クルマメモ(1)1980〜1990年代

自分用の備忘録です。
自己所有、またはほぼ自分のクルマのように使用したクルマを、年代順に振り返ってみます。



トヨタスプリンター(E40)(1974〜1979)
1400cc/4dセダン
カローラとスプリンターは販売チャンネルの違う兄弟車。1200ccから1800ccまでバリエーションが広かった。1400ccとしては出足は良かったが、当時運転経験の浅かった自分でも「出来の悪い足」なことがよくわかる前時代的トヨタ車。法定速度域でもとにかくアンダーが出まくっていた。フロントグリルのデザインは嫌いじゃなかった。




いすゞジェミニ(1974〜1988)
1800ccディーゼル(PFD60)/4dセダン
当時父が所有していたクルマだが、実家に帰省するとほぼ自分が独占していた。
ドイツのオペル・カデットと同型のクルマで、製造期間を見れば分かるが、上のスプリンターとほぼ同じ時代のクルマ。ところがこっちは本当に足回りやボディ剛性が優れており比べ物にならない…どころか、1987年当時のE7カローラと比べても良いクルマだった。いすゞは経営難のためにモデルチェンジできず14年間も作り続けたと言われているが、そもそもモデルチェンジする必要がないほど完成されていた。ただし室内は狭い。
フローリアンと並んで日本初の乗用ディーゼル車だがとにかく遅かった。それと防錆が今一つ。もっとも当時の日本車はどこも一緒で4年もすればボディ下が錆で膨らむ時代。ドアの閉まる音は最高。ほぼドイツ車のそれ。


日産ブルーバード(910)(1979〜1983)
1600cc/4dセダン

スプリンターが壊れたので、急遽10年落ちの1600ccGLという下から数えて2番目ぐらいのグレードを人から譲ってもらった。当時の日産は同じ車名なのにエンジンはおろかサスペンションも全長も全く違うクルマを結構作っていた。SSSは全く別物。
しかし1600ccも決して悪いクルマではなく、ボディ剛性はないものの頑丈で全体のバランスはよく素性の良いクルマだった。特にタイヤをインチアップ&ワンサイズ太めにすると全く別のクルマに変貌したのを覚えている。MTは4速だったけどシフトフィールは最高。
日産車はこの頃から他社より一歩先に防錆技術が進んでいたように思う。
1年ほど乗りっぱなしで酷使したが、エアコンがあってエンジンにもう少し力があれば、飽きずに乗ったかもしれない。排ガス規制過渡期真っ只中の実用エンジンはとにかく出足が遅く、交差点のたびに忙しかったのを今でも覚えている。


フォルクスワーゲン・ゴルフII(1983〜1992)
1989年式1800cc/5dハッチバック

初めての新車。初めてのFF、初めての外車、初めてのエアコン……。ゴルフIIに関しては書くことが多すぎて書ききれないので、他の人があまり触れてない点をいくつか。
ものすごく煩くて振動酷くてアイドリングできないエンジン音、世界一疲れないシート、当時としては例外的にアップライトな運転姿勢、広大な荷室、絶対に破綻しない足回り、驚異的に効くヒーター。醜すぎるエンジンルーム。道具として最高。
愛すべきゴルフ。



ユーノス・ロードスター(1989〜1997)
1600cc2dオープン
この頃から日本車はどんどん良くなっていった。ロードスターはその中にあって珠玉だった。クイックなステアリング、軽い車体、地を這うような視点…プラス、屋根がないというだけでこんなに世界が違う。いろんなところに行った。そして首の寒いクルマだった。シベリアンハスキーを助手席に乗せて乗り回した。人は一生に一度はロードスターに乗るべき。




シトロエンBXブレーク
5dワゴン・1900cc
いいところはとにかくシートとサスペンション。そして広く明るい室内。あとは動けばよい。性能は凡庸で、常に当て舵を当てないと右に右に振れていくおかしなクルマだった(もちろん新車)。GSやDS時代ほどではないにしても、とにかく「変わってる」という部分はまだ残っていた最後のシトロエン。当時のフランス車にはドイツ車や日本車にはない華と明るさが確かにあった。コレとともにシトロエンXMも結構長く乗ったが、共通するのは、乗り心地は最高だが価格の割に装備や内装がとにかくチープ。そして当時のフランス車に共通する問題としてATのシフトタイミングの不味さがあった。日本の道にはとにかく合わない。今乗るならマニュアル。


フォルクスワーゲン・ゴルフII(1983〜1992)
1800cc/5dハッチバック/Ci白
ゴルフIIは実はもう一台乗っている。先のゴルフを手放してしばらく後、改めて中古のゴルフを探したら、より古いゴルフが随分高い価格で出ていた。
さぞ良い出物であろうと買うと、真っ直ぐ走らないわ窓は落ちるわで散々な買い物だった。昔は中古車が高かったなー。
もっともこのクルマは本当に仕事に大活躍してくれて、ずいぶん遠くのクライアントにも苦なく移動できた。シベリアンハスキーもいつも一緒だったので後部座席は毛だらけ。ヤナセ目黒店とのお貴族様(に混じってゴルフを入庫する平民)な背伸びしきったお付き合いも良い思い出。



アルファロメオgtv(116系)(1974〜1983)
1982年式2000cc/3dクーペ/赤
僕はいつかアルファに乗る。そう決めて7年、やっと念願のアルファにたどり着いた。ゴルフよさらば。

自分史上最高で最低なクルマ。
何が最高かというと、走っているときのエンジンの歌う歌(歌って言っちゃってる)と、コーナリング。
最低は、数え切れない。
エアコンない、シンクロない、ギア入んない、ギア壊れる、部品ない、錆びてる、なんかあちこちボロい、エンジン止まる、ガソリン臭い、等速ジョイントすぐダメになる……。
でも最高だった。ダブルクラッチを覚えた、4輪ドリフトなるものを覚えた、コーナリングのイロハから挙動の限界を知って運転することの大切さを知った、維持するために自分で整備することを覚えた、キャブをばらせるようになった……。

僕のクルマ観、世界観はこのクルマで変わった。
gtvはつまるところ「アルフェッタ」116系だが、機構的には熟成され非常に凝った作りになっていて、トランスアクスル、インボードディスクブレーキ、50:50の重量配分など、75の時代になっても継承されるかなり革新的技術が散りばめられている。足回りにしても例えばパワースライドにしてもドリフトにしても積極的に誘発させない限りは破綻を起こすことはほとんどなく極端に安定して曲がる。さらにその限界を超えてもコントローラブルで、意のままにクルマを立て直すことができる。これは50:50だからできるということだけでなく、トーションバーやド・ディオンアクスルなど単純で枯れた技術を高度に煮詰め、エンジンとショックだけ替えてそのままレーシングカーとして走らせることさえできてしまうほどポテンシャルを上げてしまった結果でもある。



アルファロメオ75TS(1985〜1992)
2000cc/4dセダン
何をトチ狂ったか、あんなに気に入っていたgtvを売り払って75TSに乗り換えてしまった。gtvに乗っていた頃はあんなに75に憧れ恋い焦がれたのに、gtvを手放したらとてつもない後悔に悩まされ、僕はしばらく浮上できなかった。
僕はこのとき教訓を得た。アルファを買うときは、買い替えではなく増車だ。と。
このクルマ、かなり長く(5年ぐらい)乗ったにもかかわらず、僕の思い出は灰色なのだ。だから写真もモノクロのを拾った。(自分の75の写真は殆ど撮ってない)

クルマそのものは、これも素晴らしいクルマではある。しかしアルフェッタほどの軽快さや安定性は失っている。75が出たのはアルファロメオが元気のない時代、FIATに買われて浮上しようとしている頃で、この75のTSエンジンもまだ元気がなかったように思う。いわゆる「アルファオリジナルのタイミングチェーン式DOHCで最後のアルミブロック」のツインスパークなんだけど、155や147ほどまだ煮詰められてなくてアルファにしてはちょっとピーキーなところがある。あれほどgtvでは軽快だったハンドリングもなんとなく鼻先の入りにくいおもったるい印象。なので「どこまでいっても破綻しない」というような往年の美点は失われ結構簡単にどアンダーは出る。どアンダーが出たからと言って怖がってアクセルを戻したり逆に踏み込むと、どオーバーになってくるりと回ろうとする。要するにタイヤサイズが合ってない。そして同じ50:50でも重心が真ん中に寄った50:50と両端に重りをのっけてバランスを取る50:50では挙動が全く違う。gtvは前者、75は後者。

そして何より夏の熱ダレがひどかった。熱ダレはgtvもけっこうあったがツインスパークのはひどい。
指摘する人が少ないが、アルミ製ツインスパークの熱ダレは歴代アルファの致命的な弱点で、峠やサーキットでぶん回すなら日本では絶対にオイルクーラーが要る。155や147や156がアルミブロックをやめて鋳鉄ブロックになったのは、退化ではなく進化だと僕は思っている。
……なんか…いいところが出てこないな。
いや、いいところもたくさんある。高速巡航性能はかなり良い。「GT」のお手本。シートも疲れにくくてドイツ車とはまた違う意味で良い。

そして何より「アルファが錆びなくなった、壊れなくなった」時代の最初でもあった。これはけっこう大事なこと。これがあったからこそ156〜147の成功がある。苦難のALFA-LANCIA時代。
まあなんていうか、ファミリーカーとしてトータルでちゃんとしていた。ちゃんとしてたからこそ当時の僕にしては異例の5年という長い期間乗れた。それでもgtvを売ってしまった事をずっと後悔している。
でね、75はね、他人が乗ってるのを見るのがいい。疾走している75は建築的で目が覚めるほど美しい。




>>>歴代クルマメモ(2)2000〜2020年はこちら


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